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障害者雇用と一般雇用は何が違うのか|当事者が5つの違いを整理しました

基礎知識
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「障害者雇用」という言葉は知っているけれど、一般の求人と何がどう違うのかは、いまいちはっきりしない。

そんな状態で就職活動を始めようとして、手が止まっている人は多いと思います。私もそうでした。

このページでは、制度の説明だけで終わらせず、実際に選ぶときに何が変わるのかまで書いていきます。

先に結論

大きな違いは5つです。

  1. 応募に障害者手帳が必要かどうか
  2. 配慮を受けることが前提になっているかどうか
  3. 任される仕事の幅
  4. 給与の水準
  5. 求人の探し方

このうち、最も生活に影響するのは「配慮」と「給与」です。この2つは、多くの場合トレードオフの関係になります。

順番に見ていきます。

違い1:応募に障害者手帳が必要

障害者雇用枠に応募するには、原則として障害者手帳が必要です。

・身体障害者手帳
・療育手帳
・精神障害者保健福祉手帳

このいずれかを持っていることが条件になります。

診断書だけでは応募できない求人がほとんどです。手帳の申請中で応募できるかは企業によって対応が分かれるので、気になる求人があれば直接確認するのが確実です。

一般雇用には当然この条件がありません。障害があっても、伝えずに応募することもできます。

違い2:配慮を受けることが前提になっている

これが一番大きな違いだと思っています。

障害者雇用枠では、採用の時点で「この人には配慮が必要だ」ということが共有されています。

・通院のための休みが取りやすい
・体調に波があることを前提に業務量が組まれる
・指示の出し方を調整してもらえる
・作業環境(音、光、席の位置)を相談できる

こうしたことを、毎回ゼロから説明しなくて済みます。

一般雇用でも、障害を伝えたうえで合理的配慮を求めることはできます。法律上も、事業主には合理的配慮を提供する義務があります。

ただ実際のところ、受け入れる体制があるかどうかは職場によってかなり差があります。制度としては同じでも、現場の慣れ方が違う、というのが実感です。

違い3:任される仕事の幅

障害者雇用枠では、業務範囲が限定されていることが多くなります。

事務補助、データ入力、軽作業、清掃といった職種が中心です。定型的な仕事が多く、急な変更や高い判断が求められる場面は少なめです。

体調を安定させたい時期には、この「予測できる」という性質が大きく効きます。

一方で、任される範囲が狭いぶん、キャリアの伸びしろは限られがちです。数年働いても業務内容が変わらない、という声はよく聞きます。

近年は専門職や総合職の障害者雇用枠も増えてきていますが、まだ数は多くありません。

違い4:給与の水準

ここは具体的な数字を見たほうが早いと思います。

厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、障害者雇用で働く人の平均賃金(月額)はこうなっています。

・身体障害者:23万5千円
・知的障害者:13万7千円
・精神障害者:14万9千円
・発達障害者:13万円

ただし、この金額には短時間勤務の人も含まれています。

同じ調査で、週30時間以上働いている人の割合を見ると、身体障害者は75.1%、精神障害者は56.2%、発達障害者は60.7%です。

つまり、精神・発達の平均額が低いのは、時給が低いというより「フルタイムで働いていない人が多い」ことが大きく影響しています。

フルタイムで働けるかどうかで、受け取る額はかなり変わってきます。

違い5:求人の探し方

障害者雇用枠の求人は、一般の求人サイトにはほとんど出てきません。探す場所が別になります。

・ハローワークの専門援助部門
・障害者向けの転職エージェント
・障害者向けの求人サイト
・障害者就業・生活支援センター

このうちハローワークは、地域の中小企業の求人が多いのが特徴です。転職エージェントは大企業や上場企業の求人を多く持っています。

複数を並行して使うのが一般的です。どれか1つに絞る必要はありません。

どちらを選ぶか、の考え方

正解はありません。ただ、判断の順番はあると思っています。

まず考えるのは「今の体調で、週に何時間働けそうか」です。

ここが不安定なうちに一般雇用を選ぶと、配慮を求めるたびに説明が必要になり、それ自体が消耗につながります。

逆に、体調が安定していて、やりたい仕事の方向がはっきりしているなら、一般雇用のほうが選択肢は広くなります。

定着率という材料

もう一つ、見ておくと参考になる数字があります。平均勤続年数です。

・身体障害者:12年2月
・知的障害者:9年1月
・精神障害者:5年3月
・発達障害者:5年1月

精神・発達の数字が短いのは、障害者雇用が本格的に広がったのが比較的最近だという事情もあります。ただ、続けやすさに課題があることも確かです。

「入れるかどうか」だけでなく「続けられるかどうか」を基準に選ぶと、後の負担が変わってきます。

企業側の事情も知っておくと有利です

企業には、一定割合以上の障害者を雇う義務があります。これを法定雇用率といいます。

民間企業の法定雇用率は、2026年7月から2.7%に引き上げられました。対象となる企業の範囲も、従業員37.5人以上に広がっています。

つまり、企業側にも採用したい事情があります。

これは求職者にとって追い風です。「雇ってもらう」という構えではなく、「条件を確認して選ぶ」という姿勢で臨んで問題ありません。

よくある質問

Q. 手帳を取ると不利になりませんか

会社に自動的に通知されることはありません。障害者雇用枠で働く場合は会社が把握しますが、一般雇用で伝えなければ知られることはありません。

Q. 障害者雇用から一般雇用に移れますか

移れます。障害者雇用で経験を積んでから一般雇用に移る人はいます。逆の順路もあります。一度決めたら固定、というものではありません。

Q. 手帳がないと就職支援は受けられませんか

受けられる支援はあります。これは長くなるので別の記事にまとめます。

まとめ

障害者雇用と一般雇用の違いを、もう一度整理します。

・手帳が必要かどうか
・配慮が前提になっているかどうか
・仕事の幅
・給与の水準
・求人の探し方

配慮と給与はトレードオフになりやすい、というのが実際のところです。

どちらが優れているという話ではなく、今の自分の状態に合うのはどちらか、という選び方になります。

働き方を決めるのは、一度きりの選択ではありません。体調も、できることも、年単位で変わっていきます。

今の自分に合うほうを選んで、合わなくなったら変える。それで構わないと思っています。

※本記事の制度・統計に関する記述は、厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果」および障害者雇用促進法の内容にもとづいています。制度は変更されることがあるため、実際のご利用にあたっては公式サイトや窓口でご確認ください。