障害者雇用の求人を見ていると、「特例子会社」という言葉が出てきます。
聞き慣れない言葉ですが、選択肢として知っておくと役に立ちます。
特例子会社とは
障害のある人の雇用を目的として、親会社が設立した会社です。
通常、法定雇用率は会社ごとに計算されます。ただし一定の要件を満たして厚生労働大臣の認定を受けると、子会社で雇用した障害者を、親会社(グループ全体)の雇用率に算入できます。
この仕組みを使って設立されたのが特例子会社です。
大手企業グループの多くが設立しています。社名に「〇〇ビジネスサポート」「〇〇ハートフル」といった名前が付いていることが多いです。
普通の会社と何が違うか
1. 設備や環境が整っています
最初から障害のある社員が働く前提で作られています。
・バリアフリー ・静かな作業環境 ・休憩スペース ・音や光への配慮
2. 支援する人がいます
支援員や、障害者職業生活相談員が配置されていることが多いです。
体調について相談する窓口がはっきりしているという点は、働き続けるうえで大きいです。
3. 同じ立場の同僚がいます
周りにも障害のある社員がいます。「自分だけ配慮されている」という感覚になりにくい環境です。
4. 業務が整理されています
グループ会社から業務を受託する形が多く、作業手順がマニュアル化されています。
・データ入力 ・書類のスキャン、ファイリング ・名刺作成、印刷 ・清掃 ・メール室の運営 ・社内カフェの運営
メリット
・配慮を受けやすい ・定着率が高い傾向にある ・大手グループなので、給与や福利厚生が比較的安定している ・通院への理解が得やすい
考えておきたいこと
1. 業務の幅が限られることがあります
受託業務が中心なので、任される仕事の種類は多くありません。数年働いても内容が変わらない、という声はあります。
2. 親会社への転籍は簡単ではありません
制度として設けている会社もありますが、実績は多くありません。
3. 給与水準
グループの給与体系とは別になっていることが一般的です。大企業の正社員と同じ水準にはなりません。
4. 数が限られています
そもそも設立している企業が限られるため、求人数は多くありません。都市部に集中しています。
向いている人
・配慮が得られる環境を最優先したい ・長く安定して働きたい ・体調に波があり、理解のある職場を探している
向いていないかもしれない人
・幅広い業務を経験してキャリアを作りたい ・数年で昇進や職種変更を目指したい ・地方在住で、近くに特例子会社がない
探し方
転職エージェント
特例子会社の求人は、エージェントが多く扱っています。企業規模が大きいためです。
ハローワークの専門援助部門
地域にある特例子会社の情報を持っています。
厚生労働省の一覧
厚生労働省が特例子会社の一覧を公開しています。自分の地域にどんな会社があるか調べられます。
企業の採用ページ
特例子会社が自社で採用しているケースもあります。
見学できるか聞いてみてください
特例子会社は、見学や実習を受け入れているところが多いです。
実際の作業環境を見ると、求人票では分からないことが分かります。
・音の大きさ ・人の密度 ・休憩のとりやすさ ・社員の様子
▶ 障害者雇用で2社続かなかった私が、次に見るようになった3つのこと(https://shogai-work.com/tsuzukanakatta/)
よくある質問
Q. 特例子会社は障害者しか働いていないのですか
いいえ。管理職や支援員として、障害のない社員も働いています。
Q. 正社員になれますか
会社によります。契約社員からスタートし、登用制度がある会社もあります。登用実績を確認してください。
Q. 給料はどのくらいですか
会社と地域によりますが、一般の障害者雇用と大きくは変わりません。
▶ 障害者雇用の給料は安い?平均賃金と、収入を上げる4つの方法(https://shogai-work.com/kyuryo/)
Q. 手帳は必要ですか
必要です。特例子会社での雇用は、法定雇用率の算定対象になるためです。
Q. 一般の会社と比べて、どちらがいいですか
目的によります。配慮の得やすさなら特例子会社、業務の幅なら一般の会社です。
まとめ
・親会社が障害者雇用のために設立した会社 ・設備、支援体制、業務の整理が最初からできている ・定着しやすい一方で、業務の幅は限られる ・求人数は多くなく、都市部に集中している ・見学できることが多いので、実物を見てから判断する
「配慮のある環境で、長く働く」ことを優先するなら、有力な選択肢だと思います。
※本記事の制度に関する記述は、厚生労働省の公開資料および障害者雇用促進法の内容にもとづいています。制度は変更されることがあるため、実際のご利用にあたっては公式サイトでご確認ください。

