雇用契約を結んで働く場合、最低賃金が適用されます。
ただし、例外的に下回ることが認められる制度があります。知らないと、求人票を見たときに混乱するかもしれません。
原則:最低賃金は守られます
雇用契約を結んでいる以上、最低賃金法が適用されます。
障害者雇用枠であっても、就労継続支援A型であっても同じです。
障害があることを理由に、自動的に賃金を下げることは認められていません。
例外:最低賃金の減額特例許可
都道府県労働局長の許可を受けた場合に限り、最低賃金を下回る賃金を設定できる制度があります。
対象として想定されているのは、次のような場合です。
・精神または身体の障害により著しく労働能力が低い方 ・試用期間中の方 ・認定職業訓練を受けている方 ・軽易な業務に従事する方 ・断続的労働に従事する方
「障害がある」というだけで対象になるわけではありません。
その業務において、他の労働者と比べて著しく労働能力が低いと認められる場合に限られます。
許可には手続きが必要です
企業が勝手に決められるものではありません。
・企業が労働局に申請する ・労働局が実際の労働能力を確認する ・許可が出て初めて適用される
減額の率にも上限があり、労働能力に応じて個別に決定されます。
求職者として知っておきたいこと
1. 求人票に記載があるか確認する
減額特例が適用される場合、その旨が示されるのが通常です。
提示された賃金が地域の最低賃金を下回っている場合、理由を確認してください。
2. 許可を得ているか確認できます
こちらの賃金は、最低賃金の減額特例許可を受けたものでしょうか
聞きにくければ、ハローワークの専門援助部門に相談すれば確認してもらえます。
3. 許可なく下回っていたら違法です
その場合は労働基準監督署や労働局に相談できます。
実際にはどのくらいあるのか
一般の企業での適用は多くありません。
就労継続支援A型事業所で適用されるケースが比較的多いとされています。
▶ 就労移行支援・A型・B型の違い|3つの制度を表で比較(https://shogai-work.com/ikou-atype-btype/)
一般企業の障害者雇用枠では、最低賃金以上が通常です。
減額されていた場合の考え方
「自分の価値が低い」という話ではありません。
この制度は、その業務における現時点での作業量や精度を基準にしたものです。
業務が変われば評価も変わります。慣れによって作業能力が上がれば、見直しを求めることもできます。
定期的に見直してもらえるか確認してください。
作業に慣れてきた段階で、賃金の見直しはありますか
最低賃金そのものも確認を
地域別最低賃金は、毎年10月ごろに改定されます。
改定後も以前の時給のままになっていないか、確認する価値があります。
自分の地域の最低賃金は、厚生労働省のサイトで確認できます。
計算方法は、月給制の場合こうなります。
月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間 = 時間額
この時間額が、地域の最低賃金を下回っていないかを見ます。
通勤手当や賞与は、最低賃金の計算に含めません。 基本給と、毎月決まって支払われる手当だけで計算します。
相談先
労働基準監督署
最低賃金に関する相談窓口です。
都道府県労働局
減額特例の許可を出している機関です。
ハローワークの専門援助部門
求人の内容について相談できます。
よくある質問
Q. 試用期間中は減額されますか
試用期間中の減額特例は制度としてありますが、許可が必要です。許可なく下げることはできません。
Q. パートでも最低賃金は適用されますか
適用されます。雇用形態による違いはありません。
Q. A型事業所の賃金は最低賃金以上ですか
雇用契約があるため、原則として最低賃金が適用されます。減額特例の許可を得ている事業所もあります。
Q. B型事業所の工賃は
雇用契約がないため、最低賃金は適用されません。工賃という扱いになります。
Q. 自分の賃金が適正か分かりません
ハローワークか労働基準監督署に相談してください。無料です。
まとめ
・雇用契約があれば最低賃金が適用される ・例外として減額特例許可の制度があるが、労働局の許可が必要 ・障害があるだけで自動的に適用されるものではない ・一般企業での適用は多くない ・疑問があれば労働基準監督署やハローワークに相談できる
制度を知っていると、提示された条件が妥当かどうか判断できます。

