就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型。
名前が似ていて、調べても違いが頭に入ってきません。私も最初はそうでした。
この記事では、3つの制度の違いを整理します。
先に結論:一番大きな違いは「目的」です
・就労移行支援 … 一般企業に就職するための訓練の場
・就労継続支援A型 … 雇用契約を結んで働く場
・就労継続支援B型 … 雇用契約を結ばずにработ作業する場
就労移行支援だけ性格が違います。ここは「働く場所」ではなく「働くための準備をする場所」です。
A型とB型は、どちらも実際に作業をして収入を得る場所です。違いは雇用契約があるかどうかです。
表で比較
| 就労移行支援 | A型 | B型 | |
|---|---|---|---|
| 目的 | 一般就職の準備 | 雇用されて働く | 雇用契約なしで働く |
| 雇用契約 | なし | あり | なし |
| 収入 | なし | 賃金(最低賃金以上) | 工賃 |
| 平均額(月) | ー | 91,451円 | 24,141円 |
| 利用期間 | 原則2年 | 制限なし | 制限なし |
| 対象年齢 | 原則18〜65歳未満 | 原則18〜65歳未満 | 制限なし |
| 利用料 | 所得に応じて | 所得に応じて | 所得に応じて |
※平均額は厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」より
就労移行支援
一般企業への就職を目指す人のための訓練の場です。
訓練、職場実習、求職活動の支援、就職後の定着支援までが含まれます。
期間は原則2年と決まっています。そのあいだ収入はありません。
詳しくは別記事にまとめました。
▶ 就労移行支援とは|対象・期間・費用と、通ってみて分かったこと
向いている人
・一般企業で働きたい気持ちがはっきりしている
・通っている間の生活費の見通しがある
・準備に時間をかけられる
就労継続支援A型
雇用契約を結んで働きます。 労働者として扱われるので、最低賃金が適用されます。
令和6年度の平均賃金は月額91,451円でした。
これは短時間勤務の人が多いためです。A型は1日4〜6時間程度の勤務が一般的で、フルタイムではありません。
雇用契約があるので、労働基準法が適用されます。有給休暇もあります。
仕事の内容
事業所によってさまざまです。軽作業、清掃、飲食、データ入力、農作業など。
向いている人
・ある程度安定して働ける状態にある
・毎日の勤務に耐えられる体力がある
・収入を得ながら経験を積みたい
注意点
・一般就労より給料はかなり低くなります
・利用料がかかる場合があります(多くの人は無料ですが、収入によっては負担が発生します)
・一般就労へのステップとして使う人もいれば、長く働き続ける人もいます
就労継続支援B型
雇用契約を結ばずに作業をします。 労働者ではないため、最低賃金は適用されません。
支払われるのは「工賃」で、令和6年度の平均は月額24,141円でした。
金額は低いですが、その分自分のペースで通えます。
・週1日から通える事業所が多い
・体調に応じて休める
・年齢制限がない
向いている人
・体調に波があり、毎日の通所が難しい
・まず生活のリズムを作るところから始めたい
・人と関わる機会を持ちたい
B型は「収入を得る場所」というより、「社会とつながり続ける場所」という性格が強いです。
工賃だけで生活するのは現実的ではありません。障害年金や他の収入と組み合わせる形になります。
どう選ぶか
判断の順番
1. いま、週に何日通えるか
毎日は難しい → B型
週4〜5日通える → A型 または 就労移行支援
2. 一般企業で働きたいか
働きたい、準備に時間をかけられる → 就労移行支援
働きたいが、今は収入が必要 → A型で経験を積んでから
3. 収入がどれくらい必要か
生活費を稼ぐ必要がある → A型(ただし一般就労より低い)
他に収入がある → B型や就労移行支援も選べる
行き来はできます
この3つは、一方通行ではありません。
・B型で慣れてからA型へ
・A型から就労移行支援を経て一般就労へ
・一般就労で体調を崩してB型に戻る
どの順番もあり得ます。一度決めたら固定、というものではありません。
「ステップアップ」という言葉が使われますが、上下があるわけではないと思っています。 そのときの状態に合う場所を選ぶ、というだけの話です。
よくある質問
Q. 障害者手帳は必要ですか
3つとも、手帳がなくても利用できる場合があります。医師の診断書と、市区町村の判断が必要です。
Q. A型とB型を同時に利用できますか
原則できません。
Q. 掛け持ちでアルバイトはできますか
事業所や自治体によって判断が分かれます。事前に確認してください。
Q. 利用するにはどうすればいいですか
市区町村の障害福祉窓口で相談します。相談支援事業所を紹介され、サービス等利用計画を作ったうえで受給者証が発行されます。
Q. 見学はできますか
できます。むしろ必ず行ってください。同じ種別でも事業所ごとに中身がかなり違います。
まとめ
・就労移行支援は訓練の場。収入なし、原則2年
・A型は雇用契約あり。平均月額91,451円
・B型は雇用契約なし。平均月額24,141円
・選ぶ基準は「いま週に何日通えるか」から
・3つの間は行き来できる
制度の名前は分かりにくいですが、やっていることは「準備する」「雇用されて働く」「自分のペースで作業する」の3つです。
自分がいまどこにいるかで、合う場所は変わります。
※本記事の数値は厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」にもとづいています。制度の運用は自治体によって異なる場合があり、内容は変更されることがあります。実際のご利用にあたっては、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

